あびこ便り　第３０３号　１７年 ６月号
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　更新日　2005/5/15　

いよいよ今秋、豊岡市でコウノトリ野生復帰

　

　年末年始頃、我孫子の北新田に１羽のコウノトリが舞い降りて大騒ぎとなった。
５月の時点では鳥取あたりに留まってロシアへは帰っていないようだ。
日本における野生のコウノトリは昭和４６年に絶滅したが、
保護増殖事業の成果で今年の９月に放鳥する予定である。

我孫子市鳥の博物館の鳥博セミナーで
「コウノトリと共生するまちづくり」と題して
豊岡市役所企画部コウノトリ共生課課長の
佐竹節夫さんがお話をしてくださった。




開会に先立って
山階鳥類研究所から我孫子市へ転職した
新館長の杉森文夫さんが挨拶をされた。







　コウノトリは本来ロシアのアムール川周辺で繁殖し中国の長江周辺で越冬する渡り鳥であるが、
場合によっては留鳥ともなり、かつて日本にも生息していた。



　

江戸時代から保護してきたが、残念ながら昭和４６年に絶滅してしまった。
その後、ロシアから幼鳥の提供を受けて繁殖に成功し、
平成１４年で飼育数が１００羽を超えるまでになった。
そして愈々９月２４日に放鳥する運びとなった。
　　

昭和３５年には水牛の世話をする農夫と渡って来たコウノトリが一緒にいる様子が撮影された。
　　


　野生復帰への道程は相当なものであった。
コウノトリは肉食性であるので、小魚やカエルなどの餌が安全な状態で豊富にあるためには、
生息域において無農薬無化学肥料の農法でなければならず、
感電死を防ぐために電線を地中化し、送電線にはプラスチックを被せ、
豊かな生態系を確立するために農業用水路にビオトープや魚道を設置し、
農作物を食い荒らすシカや田んぼの畦を踏み荒らすイノシシの被害を防ぐことや
ブラックバスの一斉駆除も必要だった。
　
　
　

周辺の農家を対象に学習会を開いた
　　
やがて双眼鏡持参で調査をする農民も現れた
　　
圃場整備の際、田んぼの一角に中干しの時カエルなどが逃げ込める水場を設置した
　　
用水路や排水路の段差を無くし、魚道も設置した
　　
多自然型河川管理で子供が遊べる「春の小川」
　　
国土交通省も円山川の河川敷にビオトープを整備
　　

　




　　　　17/5/15　　上村　隆
画像はいずれも上映されたスライドを撮影したものです。
図表は豊岡市発行のパンフレットからスキャナしました。

編集後記／　福知山線事故に思う
　ＪＲ福知山線の事故で犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともに、
怪我をされた方々の一刻も早い回復を願い、
また周辺住民や救助に当たられた方々の心の傷が早く癒えることも願っています。
　事故の原因としては、人材の断層、過密ダイヤ、運転ミスへの懲罰、安全装置の未整備などが
底辺にあり、スピード超過と非常ブレーキが直接の引き金となったのであろう。
　日航機や管制官のミスも多数発生しており、
現場担当者から管理者までプロ意識や真剣さや誠実さを見失い、
社内規則の遵守を優先したことの間違いが共通する原因のように思われる。
　昔のバスの運転手さんは、でこぼこ道や狭い道を曲芸のように運転しながら、
お客さんへの気配りも上手だった。
今は何でもマニュアル通りで味気なくなってはいないか。
規則を守る社員である前に、心優しい運転手さんであって欲しいものだ。
　　　　　　　１７/５/１５　　　　　　　　　　　　　　　　　　上村　隆

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